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事例紹介

食欲不振の原因は夏バテではなかった

2022-09-07
この夏に食欲が低下していた男性。周りから心配されて「一度検査をした方がいい」と言われていましたが、仕事が忙しく身体の事は後回しにしていました。ここ数日は吐き気もして身体がきつくなり、ようやくクリニックを受診しました。「おそらく熱中症だと思うので点滴して欲しい」と本人は言いますが、異様に腹部が膨満しています。キーパーソンの勧めもあって検査を受ける気になり、CTを撮影したところ、腸内に大量のガスと残渣物が停滞して腸閉塞の状態になっています。その原因は大きくなった直腸癌(◯印)でした。

頭痛の原因は?

2022-07-29
頭痛の原因で意外と多いのが副鼻腔炎です。本来は空気が存在する副鼻腔に膿汁が溜まり炎症を起こすため、特に前額部(おでこ)や目・鼻の周囲、頬の辺りなどに痛みが生じます。通常は抗生剤などで治療しますが、治りにくい事例の中には真菌が原因のこともあります。副鼻腔炎は耳鼻咽喉科領域の疾患ですが、頭痛の検査で行ったC Tでもよく見つかります。
また体力が低下したときに起こりやすいので、食事や休養などを見直すことが肝心です。
 
写真の解説
副鼻腔に膿汁が溜まった(矢印)C T画像。健康なときには空気があるので黒く見える。

発熱と右背中の痛みの原因は・・

2022-07-01
 糖尿病と高血圧のため通院中の患者さんが、10日くらい続く発熱と右背中の痛みと腫れた感じを訴えて受診しました。
 腹部CT(写真)では右腎盂〜尿管が拡張(矢印)して右の腎臓が腫脹しています。実は尿管結石によって尿の流れが悪くなり、ちょうどダムみたいになっているのです。炎症の指標となるCRPも15以上と高い値を示しており、尿路感染を合併している状態です。
 抗生剤を投与したところ炎症所見や痛みは改善しましたが、1週間後も尿路の拡張は変化していません。尿管結石の処置のため、県立病院の泌尿器科を紹介しました。
 それにしても、よくもまあ10日間も何もせずに様子をみていたものです。下手をすると敗血症などの重症となるところでした。

頸動脈血栓

2022-05-24
 写真は頸動脈内に出来た血栓の超音波画像です。頸動脈の血管壁から内側にこんもりと山のように盛り上がっている(矢印で示す)のが血栓です。健全な血管の内側は血小板凝集を抑制する機能を持つ血管内皮細胞に覆われているのですが、内皮に傷がついたり異物が引っ付いたりすると、その部位に血栓が出来やすくなります。そして最初は小さな状態でも、その表面に次から次へと血栓が形成されて大きくなってしまうのです。
 頸動脈に血栓ができると当然ながら脳への血流が悪くなり、めまいやときには脳梗塞を起こすこともあります。まずは首が曲がった状態を持続させないことが大切です。腕枕をして横向きの体勢でテレビを見たり、下向きで草むしりを続けたり、ずっと上を見上げているようなことは良くありません。そして十分の真水を飲み、野菜を多く摂るようにしましょう。油、糖分が多い食事は血栓ができやすくなります。
 治療としてはあまりに危険な血栓はカテーテルで除去することもありますが、多くの場合は血小板や凝固機能を抑制する薬で血栓を予防しますが、当然出血時に血が止まりにくくなる副作用があります。なお、これらの経口薬には血栓を溶かす作用はありません(一部の酵素系サプリメントの中には血栓溶解作用を示す製品があります)。基本的には生活習慣を改善することが何よりも大事です。
 頸動脈血栓は無症状のうちにも超音波検査で発見できます。私は腹部の超音波検査を行う患者さんにも(追加料金は発生しないので)なるべく甲状腺や頸動脈も観察するようにしていますが、血栓が偶然に見つかることが結構あります。頸動脈の超音波検査にさほどの手間はかかりませんので、糖尿病や高脂血症などハイリスクの方は定期的にかかりつけのお医者さんに検査してもらうことをお勧めします。
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